第二回『高等遊民だけど、質問ある?』の巻
主人公 代助のように、大学は出たものの、働くことなくプラプラしている層のことを、夏目漱石は著作の中で、『高等遊民』と名付けました。
『それから』が発表された1909年(明治42年)頃の大学進学率は10%未満。
その中で東京帝大を出るなんて、まさにスーパーエリート。
働き口もさぞ選び放題でしょうと思っていたのですが、この時代の東京帝大卒業生の約2割は進路未定だったそうで、現代と同じくなかなかの就職難だったようです。
とは言え、『働くことなんて下等なことだ』なんて言う代助が就職活動した形跡はまったく見られないわけですが。
でも、彼のそうした発言の裏側には、厳しい世の中において、自力でキャリアを切り開くことへの不安や、失敗によってプライドが傷つくことに対する強い恐怖があったのかもしれません。
それと同時に、四苦八苦しながらも社会の荒波にもまれて大人になり、家庭を持つ友人 平岡へのコンプレックスも相当なものであったと想像できます。
そう考えると、自分の身体やら伸ばしたヒゲ、酒の強さなどに妙に自信を抱いているところも、社会的には無力な自分の拠り所を求めていた、と理解できる気がします。
また、この高等遊民という存在は、「下手に賢い若者がプラプラしてると、危険な思想や反体制活動に走る可能性がある」とちょっとした社会問題にもなっていたようです。
この辺りは、戦後の 過激な左翼活動やカルト教団の問題にも通じている部分かもしれません。
ちなみに「遊民」と言えば、ミュージシャンの松任谷正隆氏は自虐的ユーモアを込めて、『遊民亭主』というニックネームを名乗る時がありますね。
はい、夏目漱石にはまったく関係ない話です。
松任谷氏がいろんな意味で高等であることはまちがいありませんが。
-11月度スロース読書会-
日時:11/29(金) 20:30~(11月度は第5週目の開催となります!!)
会場:喫茶スロース二階 ナマケモノ大学(蒲郡駅北口すぐ)
参加費:1000円(1ドリンク付)
課題図書:夏目漱石著『それから』
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ドリーミー刑事(会社員)
スロース読書会の常連。
日々、古今東西の素敵でキャッチーな音楽を追い求める夢見みがちなおっさん。B型。犬が好き。
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