だんだんと暑くなってきましたね~。ペットシッターは、冬よりも夏のほうが苦手です。犬の散歩など、冬の寒い時期も辛いものですが、歩いていれば体も温まってきます。これが夏場だと、歩けば歩くほど暑く苦しくなっていきます。もちろんワンちゃん達の体調を考慮し、夏場の散歩は早朝と夕方遅い時間帯に限られるのですが、それでも真夏は体にこたえます。朝、30分間の散歩を3件、また夕方に同じく3件など、1日に合計3時間ほど炎天下を歩くようなこともあります。他にも、蚊の対策など、夏は悩まされる要素が多いので、しっかりと対策をして臨んでいます。
さて、前回はちょっと下(しも)のほうから小説を探ってしまいましたが、もっとちゃんとした恋愛小説だったら何があるだろうと考えてみました。世界が中心でなんやらとか、kiが抜けたYoshiki等のケータイ小説群には近寄りもしませんでしたので、最近の流行りはまったくわかりません。だったらいっそのこと、戻れるだけ時間を戻って遙か昔の小説を探ってみたらば……みつかりました!
今回は、2作品を紹介したいと思います。
古いものからいきましょう。
書かれたのが1678年、今からたったの330年ほど前のことです。
・クレーヴの奥方/ラファイエット夫人
舞台は十六世紀なかばのフランス。栄華と色道のはびこる宮廷で、美貌の紳士ヌムール公に心ひかれていくクレーヴ夫人。倫理と欲望の間で揺れる心理模様を描いた傑作です。
最初に断っておきますが、僕は海外小説も歴史小説も大の苦手です。とくに、登場人物がやたらに多く、出てくるたびに別の呼び名で書かれていたりすると、「勘弁してくれ~」と本を投げ出したくなります。本作は文庫本で230ページほどと、長編としては短い作品ですので、登場人物もそう多くありません。僕の数えたところ、たったの97人ほどです。
それは困るという方、僕も当然困りました。読み始めの2~3ページで既に20人くらいが登場なされます。さらに姻戚関係がこんがらがっていて、誰と誰が今どうなっているのか、さっぱり頭に入っていきません。これはいかん、と思い立ち、他サイトの記事を参考にしながら、自分で人物相関図を作ってみました。
【クレーヴの奥方 人物相関図】
これを見ながらあらためて読んでみると、意外に読みやすく、しかもめくるめく展開に心躍り、小説世界にどっぷりとはまっていきました。とにかくこの時代の宮廷社会というのは乱れまくっているのです。結婚している身であっても、不倫の恋愛を楽しむことが”たしなみ”のように見なされているわけです。そんななか、主人公のクレーヴ夫人(クレーヴ公の奥様)だけは貞操観念が強く、そうした遊びを楽しむことができません。ところが、ヌムール公という男性が颯爽と登場するや、彼のことがどうしても気になってしまいます。思い悩んだ彼女がとった行動がとんでもなくて、「なんで~?!」と叫んでしまい、この人は貞淑なのかバカなのかわからなくなります。かなり突飛な展開ではありますが、そこを緻密な心理描写と格調高い表現がカバーし、素晴らしい物語になっています。
・危険な関係/ラクロ
男に棄てられたメルトゥイユ夫人が、別の愛人であるヴァルモン子爵と共謀し、男への復讐を企てる。1782年に出版され、何度か映画化もされた有名な作品です。書簡体と呼ばれる、手紙のやりとりだけで物語が進んでいくスタイルで、たとえば、AがBに対して何かの行動を起こす、それをCが見てDに手紙で書く、でもAの本心は別にあって、真相をAがDに打ち明ける、というような展開が延々と続きます。一つのできごとが、微妙にずれながらいろんな人に影響を及ぼしていく、それらが複雑にからみあい、ドラマが形づくられていくのです。主要人物は4人だけですし、内容も平易なので、言い回しがやや古めかしいことを除けば、とても読みやすい小説です。
今回の2作品ともに、恋愛小説ど真ん中というより、恋愛を題材にした心理小説だといえます。決して、”昔の小説は良かった”というジジイ趣味をひけらかしたい訳ではありません。固い小説のように思われるかもしれませんが、とにかく面白い小説ですので、ひるまずに読んでみてください。新刊での入手は難しいかもしれませんが、ネット古書やBOOKOFFなどでもけっこうよくみかけます。(ちなみに、岩波文庫版よりも新潮文庫版をお勧めします。)暑い季節になりますが、涼しい夕暮れ時などに、のんびりゆっくりと読書を楽しんだりするのもいいものですよ。
★今回紹介した作品の、さらに詳細な書評は下記にて。
・クレーヴの奥方/ラファイエット夫人
・危険な関係/ラクロ
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読書会メンバーの中では年長組に入りますが、毎回とても楽しく過ごさせてもらっています。スロース読書会は、人付き合いもおしゃべりも得意ではない僕さえ包み込んでくれる、心地のよい居場所なのです。
ブログでは、読書会関連として、本の話題を中心にお届けする予定です。ただ、極端に遅読なため、最新本は扱えません。僕のお気に入りの本を、なんとか現代の話題とリンクさせ(ることを目標にし)つつ、映画やその他の話題にも触れていきたいと思っています。
ちなみにペットシッターとは、飼い主さんのご自宅で、ペットのお世話をする仕事です。1967年、兵庫県に生まれ、名古屋での25年を経て、岡崎にたどり着いた今。近隣市を駆け回り、いろんなペット達と触れあう、ふかふかな西瓜糖の日々。
・お仕事サイト「ペットシッター・ジェントリー」
・Facebook(お仕事用)
・個人サイト「Sea Lion Island」
・Facebook(個人用)
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