『義姉さん、事件です!』の巻
『それから』と、その続編とされる『門』にはそれぞれ、主要な登場人物として、兄嫁という立場の女性が出てきます。
特に『門』では、主人公の弟 小六と、主人公の妻 御米のギクシャクした同居生活の描写に、多くのページが割かれています。
一方、『それから』でも、兄嫁である梅子が、縁談を持ってきたり、兄や父とのパイプ役になろうとしたり、代助を気にかける場面が冒頭から多くあります。
そして代助の方も、憎まれ口をききつつも、彼女のことを好ましく思っていることを率直に認めています。
ひねくれた高学歴ニートである彼にとって、梅子が社会と自分をつなぐ唯一の窓のような存在でもあり、ある種の逃げ場となっていたのでしょう。
それでも物語の最後には、そんな梅子も代助を見放さざるを得なくなるわけですが、その時、それぞれによぎった感情は、とうとう更生させることができなかった無念さか、あるいは新しい人生に踏み出す高揚感だったのか…。
ちなみに、漱石自身は、兄の妻であった登代に親族の縁を超えた好意を抱いていたという説があるようです。
そのことが作品に影響を与えたのかどうかは分かりませんが、複雑な幼少期を過ごした漱石にとって、兄嫁というものは特別な思い入れのある存在なのかもしれません。
-11月度スロース読書会-
日時:11/29(金) 20:30~(11月度は第5週目の開催となります!!)
会場:喫茶スロース二階 ナマケモノ大学(蒲郡駅北口すぐ)
参加費:1000円(1ドリンク付)
課題図書:夏目漱石著『それから』
この記事を書いた人
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ドリーミー刑事(会社員)
スロース読書会の常連。
日々、古今東西の素敵でキャッチーな音楽を追い求める夢見みがちなおっさん。B型。犬が好き。
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喫茶スロース読書会@愛知県蒲郡市
毎月第1金曜20:30からゆる〜く開催中!
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喫茶スロース読書会はコーヒーやビールを飲みながらその月の課題図書について感想や意見をシェアする会です。雰囲気はかなりゆるめです。
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