村上春樹がノーベル文学賞をとれない理由

haruki

ペットシッターの春名です。少し前になりますが、2014年度のノーベル文学賞が発表されましたね。これを機にすこし調べてみたのですが、この賞は スウェーデンの学士院にあたるスウェーデン・アカデミーという機関に運営が委ねられています。賞の選考は秘密裏に行われ、その過程はなぜか受賞の50年後 (!)に公表されます。これにより1963年に、三島由紀夫が最終選考の一歩手前まで残っていたことがわかったりしています。ですので、巷間で取り沙汰さ れる「村上春樹が候補に上がった」などというのは、予想屋による推察に過ぎないわけです。そもそも村上春樹は候補にもなっていないとする論者もいますが、 真相は50年経たないとわかりません。なんだかケネディ暗殺事件のウォーレン委員会報告みたいですが。ちなみに30年ほど前に思春期を迎えた僕のような世 代には、「スウェーデン」と聞いただけで、静かに顔がにやけてきたりしますが、それもノーベル賞とは一切関係がありません。

また、芥川賞の ように“作品に”贈られる賞ではなく、ノーベル賞はあくまでも“作家に”贈られる賞ですので、それなりの質と量の作品を残していなければいけません。だい たいが高齢作家の受賞となるのはこのためで、気鋭の新進作家に贈られるようなことは絶対にないわけです。三島由紀夫が最終3人に残らなかったのも、「ほか の日本人候補と比べて、優先されるほどの作家性がまだない」と判断されたせいらしいですが、この時点で「仮面の告白」「潮騒」「金閣寺」など多数の代表作 があってさえこの言われようです。「五十、六十、鼻たれ小僧」というわけで、日本じゃ無敵の村上春樹といえど、海外ではまだひよっ子なのかもしれません。

ち なみに、ノーベル文学賞からやや(というか、かなりというか)落ちますが、直木賞についても、作品よりは作家に与える賞だと言われています。発表としては 「誰々の何々という作品に与える」ということになっていますが、顔ぶれを見てみると、芥川賞が純文学の新人賞的意味合いが強いのに対し、直木賞はエンター テインメント系の中堅作家に対する功労賞の意味合いが強いと思います。

ところで読書会メンバーの私としては、ノーベル文学賞の作品くらい、なぎ倒す程に読んでいなければならないと思うわけですが、最近の受賞を見てみますと……。
うん。ほとんど読んだことがありません。
小説家だけではなく、詩人に贈られることもあるため、そうなるとさらに私の守備範囲から遠のいてしまいます。
ここ10年の受賞者と、その国籍、種別を並べてみましょう。

・2014年 パトリック・モディアノ(フランス.小説家)
・2013年 アリス・マンロー(カナダ.小説家)
・2012年 莫言(中国.小説家)
・2011年 トーマス・トランストロンメル(スウェーデン.詩人)
・2010年 マリオ・バルガス・リョサ(ペルー.小説家)
・2009年 ヘルタ・ミュラー(ドイル.小説家)
・2008年 ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ(フランス.小説家)
・2007年 ドリス・レッシング(イギリス.小説家)
・2006年 オルハン・パムク(トルコ.小説家)
・2005年 ハロルド・ピンター(イギリス.戯曲)

うー む、あまりに知らない人ばかりで、たとえばベネズエラ新内閣の組閣表を一緒に渡されたとしても、どっちがどっちかわからないくらいの自信はあります。た だ、じっくり調べていくと、僕でもちょっと引っ掛かるというか、知らないわけでもないんだ、という弁明の残りかすが浮上してきましたので、書いておきま す。

アウェイ・フロム・ハー 君を想う <デラックス版> [DVD]2013 年受賞のアリス・マンロー。小説は読んだことがないのですが、映画化された作品を見たことがありました。「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」という作品で、「クマが山を越えてきた」という短篇が元になっています。妻がアルツハイマーを発症した夫婦を描いた映画で、日本ではミニシア ター系でひっそりと公開され、僕も劇場に見に行きました。小品ではありますが、渋い佳作だったと思います。この作家はカナダ人の女性で、映画の監督もサ ラ・ポーリーという同じくカナダ人女性、しかも撮影当時まだ20代という若さから、少しだけ話題になりました。

悪い娘の悪戯2010 年受賞のマリオ・バルガス・リョサ。日本でも2010年末に、「悪い娘の悪戯」という作品が刊行されています。おそらくノーベル文学賞受賞に絡めてのこと と思われます。ラジオの書評でこの作品が激賞されていて、僕もすこし読んでみたいと思ったものでした。結局まだ買ってもいませんが。

ヘルタ・ミュラー短編集 澱み2009 年受賞のヘルタ・ミュラー。最近、ブックオフの100円棚で「澱み」という短編小説集をやたら目にします。装丁がよく出来ているせいだと思うのですが、い つでも目に入ってくるのです。あまりに気になって中を見てみたら、一編が2~3頁のものもあったので立ち読みしてみました。正直、どこが面白いのかよくわ かりませんでした。ブックオフではこういうの、よく見かけませんか。ノーベル賞に限らずなにかの賞をとったり、一時的に話題になって買ってはみたものの、 「やっぱりワシ、ようわからんかったわ」「そもそもワシ、小説なんか読んだことなかったわ」と売られてしまう作品が。マルグリット・デュラスの「愛人(ラ マン)」とか、「カラマーゾフの兄弟」の一巻目とか。村上春樹の諸作品も、そんな感じで並んでいるように思う時があります。

この記事を書いた人

春名 孝
春名 孝本と動物と珈琲好きのペットシッター
読書会メンバーの中では年長組に入りますが、毎回とても楽しく過ごさせてもらっています。スロース読書会は、人付き合いもおしゃべりも得意ではない僕さえ包み込んでくれる、心地のよい居場所なのです。

ブログでは、読書会関連として、本の話題を中心にお届けする予定です。ただ、極端に遅読なため、最新本は扱えません。僕のお気に入りの本を、なんとか現代の話題とリンクさせ(ることを目標にし)つつ、映画やその他の話題にも触れていきたいと思っています。

ちなみにペットシッターとは、飼い主さんのご自宅で、ペットのお世話をする仕事です。1967年、兵庫県に生まれ、名古屋での25年を経て、岡崎にたどり着いた今。近隣市を駆け回り、いろんなペット達と触れあう、ふかふかな西瓜糖の日々。

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