この映画にひれ伏せ! 本当に面白い4作品をご紹介

きっと、うまくいく

もう一ヶ月がたってしまいましたが、前回の読書会は、各自が持ち寄った本を紹介しあうという内容でした。課題図書について意見を交換するのも楽しいですが、自分の好きな本をたっぷりと語り尽くすのもまた楽しいものです。他の人が話すのを聞くとき、本の内容はもちろんのこと、「この人はこういう本が好きなのね~」と、いつものメンバーの趣味が見えてきたり。最後は本を回し読みしながら雑談に耽り、時は過ぎていったのです。年に一度のこの企画、充分に堪能しました。

ちなみに僕はフィクション系とノンフィクション系をほぼ半々くらいで読みますが、今回はフィクション系ばかり3冊をご紹介しました。なるべく実際に読んでもらえるよう、本を紹介する時には、(1)文量が多すぎないこと、(2)難解すぎないこと、(3)入手しやすいこと、を頭に置いて選んでいます。つまりは誰もが楽しめる作品をということで、ハードカバー800頁の本や哲学的・ポエム的要素の強い作品などは、自分がいくら好きな作品でも人には勧めません。

さて、これが映画だとどうでしょう。人に映画を勧めるという機会は意外に少ないものですが、前回の読書会のような気持ちで、「自信を持ってお勧めできる映画」について今回は考えてみることにします。これまでこのブログで紹介してきた映画も、各回のテーマに沿った内容ながら、なるべく誰もが楽しめる良品をと心がけてきました。ただ、本にしても映画にしても、人の好みの違いはどうなるものでもなく、平均的に面白いものをと考えてみるとなかなかに難しいものです。

ここでなぜか、自分で自分に縛りを設けてみます。まさにサディスティックな試みだ。好きな映画にしても好きな俳優にしても、「これを出しとけば大丈夫」的なものがあります。最近は違ってきているかもしれませんが、ひところこうして挙がる作品といえば、「ニュー・シネマ・パラダイス」か「ショーシャンクの空に」と相場が決まっていました。また、日本の俳優なら、渡部篤郎って言っとけばいいんだという時代がありました。今なら香川照之さんかリリー・フランキーさんあたりでしょうか。まあそうした作品が悪いとは言わないし、俳優さんにしても評価に全く異存はありません。ただ、そういう発言からは、その人が本当に選んだという実感や誠意がどうにも伝わって来ません。今回、こうした安易な選択肢はもちろん外して考えます。

一方の対極として、誰もが知っている大ヒット作が敬遠されるという風潮もあります。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ダイ・ハード」など、これを好きと言ったりした日にゃあ、幼稚だ低俗だと馬鹿にされかねない。ところが何の、面白いものは面白いのですよ。大ヒット娯楽大作=低俗、なんて図式自体が権威に囚われたつまらない考え方。面白いか面白くないかは自分自身で決めるものです。ただ、今回の記事としてはあまり知られていない発掘ものを取り上げたいので、上記2作品のようなメジャーものはあえて外します。(もちろん僕はこれらが好きですし、「スター・ウォーズ」も「死霊のはらわた」も「ゾンビ」も大好きですよ!)

というわけで、まずは僕が昨年に見た中で文句なく面白さナンバーワンの一本からいってみましょう。

「きっと、うまくいく」
きっと、うまくいく [DVD]インド映画といえば変な踊りと変な歌。ところが本作、その辺のバランスがきっちりとられ、どこに出しても恥ずかしくないレベルに仕上がった文句無しの大傑作なのです!
原題は「3 idiots」、直訳すれば「3バカ」となりますが、工科大学の学生3人が起こす騒動を描いた作品です。首謀格のランチョーが実に変てこな奴で、機械工学には天賦の頭脳を持ちながら、従来の枠組みに囚われない型破りな行動を繰り返します。厳格な学長は彼を憎み、対立しますが、学問が本当に必要になったとき、彼らの関係に驚くべき変化が訪れます。
コメディは苦手という方、それから2時間50分という長さが気になる方も、心配はいりません。魅力的なストーリーとセンスあふれるお笑いを追っているうちに、何が苦手かなんて関係なく映画世界に引きずり込まれます。
多くの伏線をきっちり回収していく見事な脚本、俳優陣の素晴らしい演技(ちょっとみんな泣き過ぎだけど)、練られたセリフ、話の合間にきっちり収まって最高に愉快なミュージカルシーン。僕の好きな要素の全てが詰まったうえでインド的なスパイスも効いているというてんこ盛り。見終わった後は、自分の人生を肯定的に見つめ直し、とても温かい気持ちに包まれます。そしてきっとみんな、あの主題歌を口ずさみたくなることでしょう。
とにかく楽しくて泣かされて考えさせられる。映画に必要なものが、他に何かありますか?

「情婦」
情婦 [DVD]タイトルに顔をしかめられた方、これは邦題が良くないのです。別に色っぽいシーンのある映画ではありません。(というと逆にがっかりする人がいるかもしれませんが。)ビリー・ワイルダー監督、アガサ・クリスティ原作という、極上のミステリーです。

殺人容疑をかけられた男の裁判がおこなわれます。唯一アリバイを証明できる妻さえも彼を見捨てたところで、彼の無罪をいかに証明できるのか。老弁護士は苦悩します。ラストに仕掛けられた二重のどんでん返しには、誰もが声を出して驚かずにいられないでしょう。
これは僕が誰に勧めても、「面白かった!」と言ってもらえる作品です。だから自信を持ってお勧めします。モノクロだけど気にしないで。これを見て法廷劇に興味が湧いたら、もっと有名な「十二人の怒れる男」も、もちろん見て損はない作品ですよ。

「スティング」
スティング [DVD]ポール・ニューマン&ロバート・レッドフォードの共演作では、僕の一番好きな作品。詐欺コンビとして手を組んだ二人が、悪党たちを騙す騙す。彼らの小気味よい手口にしびれます。「パパ パラ~パラ~パラ~」という主題歌でも有名。

たとえば列車内でのポーカー勝負。ギャングのボスとの大金を賭けたゲームで、相手は当然イカサマを仕掛けてきます。しかも大勢の手下達がまわりを取り囲んでいます。このままでは大損をさせられる、と思った瞬間、ポール・ニューマン扮するゴンドーフはどう対処するのか。

そして圧巻のラスト。絶対に情報を入れずに見て下さい。ああ、映画っていいなあ、こんなに面白い作品があるんだなあと酔いしれてください。

「選挙」
選挙 [DVD] 最後に1本、邦画をご紹介します。これは想田和弘監督の、観察映画シリーズ第1弾。「観察映画」とは、BGMやナレーションやテロップを使わず、まさに観察するように映像をつなぎ合わせたドキュメンタリー作品のこと。本作は、市議会選に立候補した山内さんが選挙という非日常世界で揉まれていく姿をユーモラスに綴った作品です。相田監督は当初、山内さんが回りを仕切って選挙活動を進める姿を想像していましたが、実際の現場はまったく逆で、候補者の山内さんが単なるパシリのように扱われ、なんともいえない悲哀とおかしみが感じられたそうです。このように、先にテーマを決めてそれに沿った映像を撮るのではなく、対象に飛び込んでただ素直に撮影をするのが観察映画の特徴です。相田監督の考えはさらに先を見据えていて、こうして撮られる映画でさえ、制作者の意図や脚色が潜んでいるといいます。つまり、ドキュメンタリーやジャーナリズムにおいて、完全にニュートラルな表現などあり得ないとわかっていながら、対象の“ありのままの姿”を捕らえていく。こうして作られた作品群は、他の映画には見られない独自の鑑賞体験をもたらしてくれます。とはいえ、見るのに何も難しい知識も心構えもいりません。とにかく笑える一本です。

この記事を書いた人

春名 孝
春名 孝本と動物と珈琲好きのペットシッター
読書会メンバーの中では年長組に入りますが、毎回とても楽しく過ごさせてもらっています。スロース読書会は、人付き合いもおしゃべりも得意ではない僕さえ包み込んでくれる、心地のよい居場所なのです。

ブログでは、読書会関連として、本の話題を中心にお届けする予定です。ただ、極端に遅読なため、最新本は扱えません。僕のお気に入りの本を、なんとか現代の話題とリンクさせ(ることを目標にし)つつ、映画やその他の話題にも触れていきたいと思っています。

ちなみにペットシッターとは、飼い主さんのご自宅で、ペットのお世話をする仕事です。1967年、兵庫県に生まれ、名古屋での25年を経て、岡崎にたどり着いた今。近隣市を駆け回り、いろんなペット達と触れあう、ふかふかな西瓜糖の日々。

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